NPO法人
ゼファー池袋まちづくり

News&Rport お知らせ・活動報告

舞台「池袋モンパルナス」、観てきました

2016.03.06

モンパルナス回遊美術館

3月3日に劇団銅鑼の舞台「池袋モンパルナス」を六本木俳優座劇場まで観に行ってきました。今回は写真がないので感想のみとなります。

主人公・靉光をはじめとした若き前衛芸術家を演じる若手俳優たちのエネルギッシュな演技と、小熊秀雄をはじめとしたベテランの濃密な演技の対比が興味深い舞台でした。話によると劇中ではベテラン画家だった藤沢一郎演じる横手寿男さんは前回は主人公・靉光を演じていたといいます。劇中の若き靉光に対しての藤沢の接し方がどこか過去の自分を投影しているかのように見えたのは、きっとこのせいだったのでしょう。

かつて小熊秀雄を演じていた劇団代表の佐藤文雄さん、何度か舞台を観ていてファンなのですが、登場した瞬間に舞台の空気が変わるあたり、ベテラン俳優の風格。実際生で観てみないと分からない魅力があります。靉光の下宿先の主人であり詩人の花岡謙二を好演していました。若き芸術家が戦地に赴かなければいけない憤り、自由な表現が許されない苦しさを若手俳優以上に表情の奥に潜ませながらも、飄々としたその雰囲気は流石だと思います。

主人公の靉光を演じる山形敏之さんも若くフレッシュな好演をみせてくれました。結婚、子供の誕生、スランプを経た大作、そして出征と、波乱の人生を送るシュールレアリスムの若い旗手たる画家を全身でぶつかって演じる姿を追い続けた上での悲劇的なラストには胸を打たれました。後半、どこか諦念を覚え、戦争に出て行く姿が誘う物悲しさは今回の舞台でもひときわ印象に残っています。

若手芸術家で素晴らしい芝居を見せていたのは寺田政明を演じる野内貴之くん(後輩なので、身内の贔屓目も若干あるのかも……?)と青木りつ子を演じる向暁子さん。どちらも狂言回し的だったり、コメディリリーフだったりするのですが、暗い内容も多い話に華を添え、笑いを誘っていた一服の清涼剤的存在でした。特に寺田は主人公靉光の仲の良い後輩という立場で、戦地で客死した報せを受けた際の「靉光さん!!!」という悲痛な叫びは観客の涙を呼んでいたようです。当人も今回の役作りはいつも以上に入り込んでいたようで、成果が出て良かったと思います。ちなみに寺田政明は俳優・寺田農さんのお父さんです。池袋モンパルナスに関するドキュメンタリーでも語り部として寺田さんが出演しています。

時代を隔てはいるものの、表現をする者の一人として「描きたいものを描く」という靉光の姿勢、その自由が破られたとしても諦めず描き続けること、胸に刻まれた想いです。今回の評判次第では池袋での凱旋公演もあるかも知れない、とのことなので期待したいと思います。

03030001

蛇足ですが、文字ばかりじゃあまりに殺風景なので。六本木ということで観劇の帰りは西麻布から青山霊園の方に歩き、昔から大好きなラーメン屋「かおたんラーメン」に行ってきました。相変わらず美味しかった!

TOP